総合危機管理学会(SIMRIC)通信 No.16 2022/09/30
本号では、永年、公的機関において新規事業のサポートを行ってきた、「起業」の専門家である大平眞志先生(4月から大学教員)にご寄稿いただきました。
SIMRiC通信では、危機管理に絡む多様なエッセイやコラムを、会員の皆様から募集しております。論文にする前の研究ノート的な内容でもかまいません。是非、事務局まで、気楽にご投稿いただければと存じます。是非、多数の方のご参加をお待ちしております。
◇コンテンツ◇
1 【総合危機管理学会 コラム】
新陳代謝 学会員 大平 眞志
2【総合危機管理学会からのおしらせ】
・次回(第7回)学術集会及び総会について)
・会員アンケートのお願い
・学術論文投稿のお願い
3【関連学会・関連イベント情報】
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1.【総合危機管理学会 コラム】
新陳代謝 千葉科学大学危機管理学部 大平眞志
皆さんは起業というとどのような印象を持たれるでしょうか。本来起業とは、全く新しいアイデア・技術及びビジネスモデルやサービスなどの新しい事業分野を切り開くために事業を起こすことであり成功者は敬意を表して起業家と呼ばれています。これに対し、既存の事業やサービスを行うために事業を起こすことを創業と分けて考えていますが、事業を起こすことについては同じなので一般的にはどちらも起業と認識されているようです。
さて、1年間にどれだけ企業が増加したかを見る数字を開業率、反対に企業が市場から退場した数字を廃業率といいます。現在の日本の開業率は4%台、廃業率は3%台です。過去に廃業率が開業率を上回り危機的状態だと騒がれたことがありましたが、現在は若干ですが開業率が上回っています。欧米先進国の中には開業率が10%を超える国もありますが、廃業率も7%以上と高い数字を示しています。日本もかつては開業率が高い時期がありました。なぜ日本は低く、欧米は高いのか、その要因について、かつては日本人の国民性の変化や独立心・チャレンジ精神を育てるや欧米の教育システムの違いなどが言われていましたが、現在は欧米の高い開業率や廃業率から「新陳代謝論」を唱える方が多くなっているように思います。日本の新陳代謝が悪いのは、会社を作るのに大金がかかりたいへんである。また、市場から退場すべき会社をいつまでも支えているから新陳代謝が進まないというものです。たいへん乱暴な意見と思いますが、昨今の起業を取り巻く支援環境の変化は、もしかしたら新陳代謝論に基づいているのではないかと錯覚されてなりません。例えば、会社法は株式会社の資本金が1千万円必要であったものが1円に改正されました。また、金融面では開業に必要な資金は第三者の保証人なしで2千万円も借りることが可能です。1円の資本金も驚きますが、これから事業を行おうするものに無担保で2千万円の融資も驚かされます。さらに廃業率まで変化があります。それは破綻の時の対応です。従来は破綻したときの影響が大きい大企業などに行われていた再生手法が、中小企業にも実施されるようになってきています。再生の方法はいろいろあるのですが、一般的には会社を売却する方法だと思いますが、代謝促進の観点から申し上げると第二会社方式という再生があります。別会社を起業させ、良い事業や優良資産はその会社が引き継ぎ、負債や不良資産をもとの会社に残して倒産させる方法です。新しい企業が古い企業に置き換わった状態です。売却も第二会社方式も支援機関は出血しますが、従業員の生活も守られるし、取引先への影響が小さくて済みます。一番のメリットは倒産の連鎖が防げることだと思います。一時的な出血も長い目で見れば利息や税金その他経済活動による回収が期待できます。企業の身売りや再生はどの企業もというわけにはいきませんが、中小企業の場合は倒産しかなかった時代と比べると大きな変化だと思われます。最後に経営支援の変化ですが、経営はどんどん難しくなっています。朝から晩まで真面目に必死に働いていてもコロナの影響によりアッという間に苦境に陥ります。いつ何が起こるかわからない状況です。また、急速なデジタル化等による市場の変化に対応していくのは大変です。不安は募るばかりであるのに経営者はいつも孤独で相談する人がいません。でも今はどうでしょう。支援機関は政府系から民間まで多数あり、支援内容も金融面から専門家による無料の支援等様々な支援が行われています。
いかがでしょうか、このように起業を取り巻く環境は素晴らしく整ったといことがご理解いただけたと思います。後はあなた次第なのではないでしょうか。
2.【総合危機管理学会からのお知らせ】
(1) 総合危機管理学会 第7回学術集会及び総会のご案内
次回の総合危機管理学会第7回学術集会及び総会は、学術集会会長を秋冨慎二先生にお願いし、2023年5月に開催予定です。
対面、ハイブリッド、WEB開催のいずれかになるかは今後の状況を見ながら決定いたします。詳細が固まり次第、お知らせいたします。
(2) 会員アンケートのお願い
このたび、今後の学会運営にあたりより充実した会の実施及び会員のご希望や意識を把握させていただくため、会員アンケートを実施することとなりました。ついては、総合危機管理学会に関する、会員の生の声を聞かせていただきたいと思います。多くの会員の皆様に、アンケートへのご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
アンケートは、匿名にてウェブ方式で実施します。回答にご協力いただく際は、以下のURLよりアンケートフォームにアクセスしてご回答ください(QRコードより、アクセスしていただくことも可能です)。なお、回答は会員1名につき、一度だけ行っていただけますよう、お願いします。
アンケートURL: http://www.simric.jp/enq/
(3) 学術論文投稿のお願い
学会誌「総合危機管理」では、随時学会員の皆様よりの学術論文の投稿を募集しています。
次回の定例発行(総合危機管理 第7号)は、2023年3月11日の予定としております。内容は前回の大学術集会の内容の掲載、及び一般論文となります。
一般論文は、随時会員よりの投稿を受け付けております。ご投稿いただいた学術論文は査読手続きを得て、掲載が受理されたものより随時「総合危機管理」へと掲載いたします。投稿規定などは学会ホームページ(http://www.simric.jp/journal/information-authors/)で公開しておりますのでご確認ください。皆様の論文投稿を編集委員一同お待ちしております。
総合危機管理:http://www.simric.jp/journal
(J-STAGE) https://www.jstage.jst.go.jp/browse/simric/list/-char/ja
3.【危機管理にかかわる他学会、他組織での関連イベント・行事等】
関連学会・関連イベント情報
○2022 年度防災教育交流会
・日時:2022 年 10 月 22 日(土)12:30〜14:00
・主催:防災教育チャレンジプラン実行委員会
・会場:神戸会場+オンライン配信(YouTube 予定)
・詳細:ぼうさいこくたい 2022 公式ホームページ
https://bosai-kokutai.jp/2022/
○人と防災未来センター開設 20 周年記念事業 DRI 防災連続セミナー(第 3 回)
「南海トラフ地震の本音の話をしましょう!(仮題)」
・主催:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
・日程:2022 年 10 月 23 日(日)10:30~12:00
・場所:ウェブサイトで最新情報を確認ください
・開催方式:ウェブサイトで最新情報を確認ください
・詳細:https://www.dri.ne.jp/pickup/dri20seminar/
○令和 4 年度全国コミュニティ・スクール研究大会 in 玖珠
「コミュニティ・スクールルがつくる令和の学校」
・主催:全国コミュニティ・スクール連絡協議会/文部科学省/大分県教育委員会/玖珠町教育委員会
・日程:2022 年 10 月 29 日(土)10:00~16:30
・場所:くすまちメルサンホール(大分県玖珠郡玖珠町)
・詳細:https://japan-cs.org/?page_id=1557
○日本セーフティプロモーション学会 第 16 回学術大会
「人と動物の関係から安全を考える」
・主催:日本セーフティプロモーション学会
・日程:2022 年 10 月 29 日(土)~30 日(日)
・場所:酪農学園大学(江別市)
・大会長:須賀 朋子(酪農学園大学教授)
・詳細:http://plaza.umin.ac.jp/~safeprom/gakkai.html
○第 51 回(2022 年度)地域安全学会研究発表会(秋季)
・主催:地域安全学会
・日程:2022 年 10 月 29 日(土)~30 日(日)
・場所:静岡県地震防災センター(静岡市)
・開催方式:対面を基本とし感染拡大により対面での実施が困難と判断した場合はオンライン
・詳細:https://isss.jp.net/isss-site/wp-content/uploads/2022/08/News_Letter_No.120.pdf
○令和 4 年度全国学校保健・安全研究大会
・主催:公益財団法人 日本学校保健会
・日程:2022 年 11 月 10 日(木)~11 日(金)
・場所:盛岡市民文化ホール・岩手県民情報交流センター(盛岡市)
・詳細:https://www.hokenkai.or.jp/gyouji/gyouji_nittei04.html
※ご住所や連絡先,ご所属や職名,書類等送付先の変更・訂正は,郵便またはメールで下記の学会事務局までご連絡ください。
総合危機管理学会 事務局
〒288-0025 千葉県銚子市潮見町3番
千葉科学大学 危機管理学部事務室内
TEL:0479-30-4636(銚子)